チョコのない世界でチョコを食べたい

こんにちは、澁澤です。

もうすぐバレンタインデーですね。私はなんと言ってもチョコレートが大好き! 板チョコ、生チョコ、トリュフチョコ。更にチョコレートケーキやチョコレートアイスなど、この季節は目移りしてしまいます。

しかし、今あるようなチョコレートが発明されたのは1847年のこと。結構最近の食べ物なのです。

 

Q. 中世ヨーロッパに異世界転生した場合、チョコレートは作れる?

よく、なろう系小説などで、中世ヨーロッパ風の異世界に転生するというお話がありますね。そこで珍しいものを作って領主に気に入られたり、お金を稼いだり……ということもままあるような。

実際転生した先で珍しいものをつくって、そう簡単に地位を確立できるかは別として、甘い物に乏しい中世世界でお菓子を作ってみたい、という願望は誰しもあるのではないでしょうか。

今回は、中世ヨーロッパにあるものでチョコレート(のようなもの)を作ってみるという挑戦です。

まず、チョコレートの原材料を確認してみます。LOTTEの「チョコができるまで」のページによると

  1. カカオマス
  2. ココアバター
  3. 砂糖
  4. 乳原料

とのこと。カカオマスとココアバターはカカオ豆が原料。フェルナンド・コルテスがスペインにカカオを持ち替えるのは1528年のことですから、中世にこの二つはありません。そこで必要になるのが代替品です。

皆さま、「キャロブパウダー」ってご存じでしょうか? 健康志向の強い方はご存じだと思います。キャロブパウダーとはイナゴマメを乾燥させて粉上にした食品のこと。チョコレートに似た風味を持つため、体に優しいチョコレート風のお菓子がキャロブパウダーを使って作られています(キャロブチョコで検索していただくと、いろいろな商品がヒットすると思います)。イナゴマメは地中海地方原産ですが、中世のヨーロッパでは整腸剤や咳止めとして流通しています。キャロブパウダーを作ることはできるでしょう。

キャロブパウダーだけでは、油脂分(ココアバター)が足りません。通常、キャロブチョコを作る場合はココアバターの代わりにココナッツバターを使うようなのですが、ココナッツも中世ヨーロッパで入手することは難しいでしょう。中世ヨーロッパにおける固形の油脂といえば、動物性脂肪です。バター、もしくはラードですね。バターでできたチョコレートはおいしそうですが、柔らかそうです。バターは高級品でもあるため、豚からとれるラードが現実的でしょう。

砂糖は十字軍でイスラーム世界から持ち帰られ、輸入品として存在していますが、スパイスと同等の高級品。中世ヨーロッパの甘味料と言えば専ら蜂蜜です。

乳原料はチーズやバターなどが存在しますが、あまり牛乳を口にする習慣はありません。ミルクといえば、アーモンドミルクの方がより身近なミルクです。

 

……というわけで、イナゴマメを乾燥させてキャロブパウダーを作り、ラードを熱して溶かして蜂蜜・アーモンドミルクと一緒に混ぜ、冷やし固めれば中世ヨーロッパ風チョコレートのできあがり! 異世界転生した先でチョコレートが恋しくなったら、是非作ってみてください。

A. キャロブチョコなら作れそう

参考文献:

  • LOTTE チョコの起源と歴史(https://www.lotte.co.jp/kengaku/choco/history/history.html#c2)
  • LOTTE チョコができるまで(https://www.lotte.co.jp/kengaku/choco/factory/index.html)